【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方

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執筆者 Location AIマーケティングチーム
出店戦略候補地が多すぎて決められない人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方 | 【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方

1.出店候補が多すぎて「決められない」企業が増えている

候補地は10か所以上あるのに、どこから検討すればいいのか分からない
店舗開発の担当者から、こうした声を聞くことが増えています。

多店舗展開を進める企業にとって、出店候補地の選定は事業の成否を左右する重要な意思決定です。
初期は駅前やターミナル駅周辺など「分かりやすい立地」で出店を進められますが、店舗数が増えるにつれて判断の難易度は上がります。

候補地が5か所程度であれば現地調査で比較できたものが、10か所、20か所と積み上がることで、
どの候補地を深掘りすべきか」の優先順位をつけるのかが難しくなります。

この状態が続くと、二つのリスクが生じます。一つは、検討に時間がかかりすぎて好物件のタイミングを逃してしまうこと。もう一つは、「声の大きな人の意見」や「過去の経験則」で決まってしまい、再現性のない意思決定に陥ることです。

本記事では、この「候補地が多すぎて絞れない」課題に対して、人流データを活用した具体的な絞り込みの方法を解説します。従来の立地調査がカバーしきれない「需要の実態」をデータで可視化し、候補地をスコアリングによって効率的に優先順位づけするプロセスをご紹介します。

出店候補が多すぎて決められない企業が増えている | 【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方
INDEX

出店候補地の絞り込みが難しくなっている背景には、いくつかの構造的な要因があります。

評価軸が多岐にわたる

——立地の評価には、人通り、商圏人口、競合状況、賃料水準、駅からの距離、視認性、周辺の集客施設など、数多くの変数が関わります。これらをバランスよく評価するための統一基準がない企業は少なくありません。

担当者の属人的な判断に依存している

——経験豊富な店舗開発担当者の「目利き力」は確かに貴重な資産ですが、その判断プロセスが明文化されていない場合、担当者の異動や退職によってノウハウが失われるリスクがあります。

静的データだけでは「今」が見えない

——国勢調査や住民基本台帳などの統計データは、出店検討の基礎情報として不可欠です。しかし、これらは数年に一度の更新であり、最近の開発や生活動線の変化を反映していないこともあります。

従来の出店判断では、主に以下のようなデータや手法が用いられています。

GIS(地理情報システム)による商圏分析

GISは、候補地を中心に一定半径の人口や世帯構成を把握する手法です。出店検討の基本であり、現在も広く活用されています。ただし、GISで取得できる商圏は「物理的な距離」に基づくものであり、実際の消費者の行動圏(どこから来てどこへ向かうのか)とは一致しないケースがあります。

通行量調査(交通量調査)

通行量調査は、現地に調査員を配置して歩行者や車両の数をカウントする手法です。実測値を得られるメリットがある一方、調査日の天候や曜日によって結果が大きく変動し、季節や時間帯ごとの全体像を把握するには複数回の調査が必要になります。コストと手間も無視できません。

不動産仲介からの物件情報(物件概要書)

物件概要書に依拠した検討は一般的ですが、賃料や面積といった定量データのみでは判別できない「店舗としての有効性(視認性や動線)」を現地調査で補完することが不可欠です。

また、供給側のスペック情報は詳細に得られる一方、「物件周辺の通行客属性や滞留人口」といった需要側の動態は、不動産資料のみではカバーしきれない領域です。

2.「人流データ」が出店候補地の絞り込みに有効な理由

人流データが出店候補地の絞り込みに有効な理由 | 【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方

こうした課題に対して、注目を集めているのが「人流データ」を出店戦略に活用するアプローチです。

人流データとは、スマートフォンの位置情報をもとに、人々が「いつ」「どこに」「どれくらいの人数」滞在・移動しているかを統計的に把握したデータです。個人を特定するものではなく、匿名化・集計処理された統計データとして活用されます。

人流データの最大の特長は、従来の静的な統計データでは把握しにくかった「人の動き」をリアルに可視化できる点にあります。出店候補地の分析において特に有用な情報は、以下のようなものです。

時間帯別・曜日別の滞在人数

—候補地周辺に実際にどれだけの人が来ているかを、時間帯や曜日ごとに把握できます。「平日の昼間は人通りが多いが、休日は閑散としている」といった立地特性が、出店前に定量的に分かります。

来訪者の居住地(推定商圏)

——候補地周辺に来ている人が、どのエリアから来ているかを町丁目レベルで推定できます。これにより、「物理的な距離」ではなく「実際に人が集まっている範囲」に基づく実勢商圏が見えてきます。

来訪者の属性傾向

——年代や性別の推定傾向を把握できるため、自社のターゲット層と候補地の来訪者層のマッチ度を事前に確認できます。

競合店舗との併用状況

——候補地周辺の競合店に、どのような人がどの程度来訪しているかを把握できるため、競合環境の実態を定量的に評価することが可能です。

ここで一つ大切なことを補足いたしますと、人流データは万能のソリューションではありません。
GISや通行量調査、不動産情報といった従来手法は、引き続き出店判断において重要な役割を果たします。

人流データが最も力を発揮するのは、これらの既存データと組み合わせて使う場面です。たとえば、GISで抽出した候補エリアに対して人流データで実需要を検証する、通行量調査を実施する前にデータで「筋のよい候補地」を事前にスクリーニングする、といった活用法が実務的には効果を上げています。

つまり、従来の手法の「穴」を人流データで補完する

このアプローチが、候補地の絞り込みを最も効率化する現実的な方法です。

人流データを使って出店候補地を科学的に絞り込むためには、複数の候補地を同一基準で比較できる「スコアリング」の仕組みが有効です。具体的には、以下のようなステップで設計します。

ステップ1:評価項目を定義する

人流データから得られる指標(時間帯別来訪数、推定商圏人口、ターゲット層比率、競合来訪比率など)と、従来データからの指標(賃料、駅距離、商圏人口など)を組み合わせて評価項目を設定します。

ステップ2:自社の出店基準に合わせて重みづけする 

すべての項目を均等に評価するのではなく、自社の業態や出店方針に応じた重みづけを行います。たとえば、ランチ需要が中心の飲食店であれば「平日12時台の滞在人数」の重みを高くする、といった具合です。

ステップ3:候補地ごとにスコアを算出し、順位をつける 

定義したスコアリング基準で全候補地を評価し、上位の候補地に集中的にリソースを投下する判断が可能になります。

このスコアリングを導入することで、「10か所すべてを同じ深さで検討する」のではなく、「データ上位3〜5か所に絞り込んでから現地調査に入る」というメリハリのある検討プロセスが実現できます。

※人流データを活用したスコアリングの具体的な手法や事例は、以下の記事で解説しています。

3. Location AI Platformを活用した出店候補地の絞り込み

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図. LAPを活用した対象エリアにおけるエリア分析:ポテンシャルエリア町丁目単位で可視化

ここからは、Location AI株式会社が提供する人流分析プラットフォーム「Location AI Platform®(LAP)」を活用した、出店候補地の絞り込みアプローチをご紹介します。

LAPは、スマートフォン由来の位置情報ビッグデータをAIで解析し、特定の地点やエリアの人流を直感的に可視化できるクラウド型のプラットフォームです。月間アクティブユーザー数(MAU)9,300万IDの位置情報データを基盤に、独自のAI解析エンジン「Location Engine™」で高精度な人流分析を実現しています。

LAPの「ポテンシャルマップ」機能は、出店候補地のスクリーニングに最適な機能です。

地図上で候補エリアを指定すると、そのエリアのポテンシャル(推定来訪数や需要傾向)をヒートマップ形式で可視化できます。複数の候補地を同じ画面上で比較できるため、「どの候補地に最も需要が集中しているか」を直感的に把握することが可能です。

たとえば、10か所の出店候補地がある場合、まずポテンシャルマップで全体を俯瞰し、明らかにポテンシャルが低い候補地を早期に除外するだけでも、その後の検討効率は大きく改善します。

来訪率分布マップ」は、特定の地点への来訪者が、
どのエリアから来ているかを町丁目単位で可視化する機能です。

この機能により、候補地ごとの「実勢商圏」が見えてきます。GISの円形商圏では見えなかった、線路や河川による商圏の分断、幹線道路沿いの延長された商圏など、実際の人の流れに基づいた商圏像を把握できます。

出店判断において特に有用なのは、候補地間で「商圏の重なり」を確認できる点です。既存店舗と新規候補地の商圏が大きく重なっている場合、カニバリゼーション(共食い)のリスクがあることをデータで事前に検知できます。

商圏マップ」では、候補地の商圏内に存在する競合店舗の分布や、来訪者の属性傾向を確認できます。

自社のターゲット層が候補地の商圏内にどの程度存在しているか、また競合店舗がどの程度のシェアを持っているかを、同一のダッシュボード上で横断的に比較することが可能です。

期間比較マップ」は、候補地周辺の人流が時系列でどのように変化しているかを把握する機能です。

過去1年間の来訪数推移を比較することで、「人が増えているエリア」と「人が減っているエリア」を区別できます。出店判断において、「今の需要」だけでなく「需要のトレンド」を加味することは、中長期的なリスク低減につながります。

LAPには生成AIを活用した「AIアシスタント」機能が搭載されています。ダッシュボード上で「この2つの候補地、どちらのほうが平日昼間の需要が多い?」といった質問を入力するだけで、データに基づいた回答を得ることができます。

人流分析に必要な専門的な操作スキルがなくても、会議前に必要なデータを素早く引き出し、経営層への報告資料に活用する

こうした実務シーンでの時間短縮に貢献します。

4. 出店候補を人流データで絞り込む Before / After

出店候補を人流データで絞り込む Before After | 【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方

人流データを出店候補地の絞り込みに活用する前後で、実務のプロセスがどのように変わるかを整理します。

従来の出店検討プロセスでは、次のような流れが一般的でした。

候補地が挙がるたびに、不動産情報の確認、GISでの商圏分析、場合によっては現地調査を個別に実施します。候補地が10か所を超えると、すべてに同じ深さの調査を行うことは物理的に困難になり、結果として「直感的に有望そうな候補地」から優先的に検討が進む傾向がありました。

この場合、検討に数か月を要することも珍しくなく、好物件の募集期間内に意思決定が間に合わないケースや、検討に疲弊して「消去法」で選んでしまうケースが生じていました。

人流データを組み込んだ絞り込み型プロセスでは、大きく二つのステップに整理されます。

第1ステップ:データスクリーニング(全候補地を一括評価)

LAPのポテンシャルマップや来訪率分布マップを使って、全候補地のポテンシャルを同一基準で横並び評価します。スコアリング基準に基づいて上位候補を抽出し、明らかにスコアの低い候補地は早期に除外します。このステップはデスクワークで完結するため、数日〜1週間程度で実施可能です。

第2ステップ:重点調査(上位候補に集中投下)

データ上位の3〜5か所に絞った上で、現地調査やGISでの詳細分析、不動産条件の精査を集中的に行います。リソースを分散させず上位候補に集中できるため、各候補地への調査品質が向上し、意思決定のスピードと精度の両方が改善します。

このプロセスの最大のメリットは、「全候補を均等に検討する」ことに費やしていた時間を大幅に削減し、「上位候補を深く検討する」時間に充てられる点です。不採算店のリスクを低減するという観点では、数千万〜数億円規模の損失回避にもつながります。

 5. 出店戦略に人流データを取り入れる際の注意点

出店戦略に人流データを取り入れる際の注意点 | 【出店戦略】候補地が多すぎて決められない?人流データを使った確実な店舗候補地の絞り込み方

人流データは出店判断の精度向上に大きく貢献しますが、万能ではありません。
活用にあたっては、いくつかの注意点があります。

人流データは「需要の上限」を示すものであり、売上を保証するものではない

——候補地に人が多く来ているからといって、そのまま自店舗の来客数に直結するわけではありません。業態とのマッチ度、視認性、入店しやすさといった個別要素も含めた総合判断が必要です。

データの母集団やサンプリングの特性を理解した上で使う

——スマートフォンの位置情報を基としたデータには、端末の所持率や利用アプリによるバイアスが存在します。特定のキャリアや属性(高齢者層など)のデータに偏りがあるデータがあることも認識し、人流データの選定を行う前に確認する必要があります。

最終判断は「現地確認」と組み合わせる

——データによるスクリーニングで候補を絞り込んだ後、最終候補地については現地で確認を行い、物件の視認性、入口の向き、周辺環境の雰囲気など、データだけでは判断しきれない要素を確認する必要があります。

まとめ

出店候補地の絞り込みは、多店舗展開企業にとって避けて通れない課題です。
候補地が増えるほど判断は複雑になり、従来の手法だけでは「どの候補地を優先的に検討すべきか」の答えを出しにくくなっています。

人流データを活用したスコアリングは、この課題に対する有効なアプローチの一つです。
全候補地を同一基準で横並び評価し、データ上位の候補地に検討リソースを集中することで、意思決定のスピードと精度の両立を図ることができます。

一方で、人流データは出店判断を構成する多くの要素の「一つ」であり、GISや現地調査といった従来手法との組み合わせも実務上は重要です。

大切なのは、「勘と経験」を否定することではなく、「勘と経験」にデータという客観的な裏付けを加えて、再現性のある出店判断プロセスを構築することだと考えています。

Location AI Platform®(LAP)は、人流データの分析を専門知識なしで始められるクラウド型プラットフォームです。出店候補地のポテンシャル比較や商圏分析を、ダッシュボード上で直感的に操作できます。

まずは、実際の画面と分析イメージを確認してみませんか。

– Location AI Platform®(LAP)の詳細はこちら

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-お問い合わせ・デモのご相談
https://location-ai.com/contact/

– 【出店戦略事例】人流データで東京の未回収商圏を可視化|居酒屋チェーンの新規出店分析(資料DL)https://location-ai.com/download/izakaya-chain/

出店戦略・立地分析に関連するコンテンツも、あわせてご参照ください。

既存店の勝ちパターンを分析し、未開拓エリアでの出店成功確率を高めるアプローチを解説しています。  

  居酒屋チェーンの東京進出を想定し、来訪率データから「未回収商圏」を特定して出店優先順位を導いた実践事例です。  

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 Location AIマーケティング担当者
Location AI株式会社マーケティングチーム

Location AI株式会社は、位置情報ビッグデータとAIテクノロジーで、実世界の人流データ活用を推進するロケーションテック企業です。 独自のAI解析エンジン「Location Engine™」を基盤に、人流データの分析・可視化からプロモーションの実施までを一気通貫で実現し、ビジネスから社会課題の解決まで幅広く支援しています。 また、人流分析を通じて「いつ」「どこに」「どんな人が」「どのように移動したか」といった人々の行動パターンを把握し、そのデータに基づく高精度なターゲティング広告 「人流広告(Flow Ad)」 を提供しています。

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