インバウンドの回復や国内旅行需要の変化によって、観光地には「人を呼ぶこと」だけでなく、満足度を高め、再訪や地域消費につなげることがこれまで以上に求められています。
一方で、現場では「どの施策が効いているのかわからない」「イベント後の振り返りが感覚的になりやすい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、観光マーケティングです。
観光マーケティングは、単なる集客施策ではありません。観光客の動きやニーズを理解し、地域の魅力の伝え方や体験設計、施策の改善まで含めて考える取り組みです。
すぐわかるポイント
・観光マーケティングは、観光客を集めるだけでなく、満足度向上や再訪、地域消費まで見据えて施策を考えること
・勘や経験だけでなく、来訪・回遊・混雑・滞在といった事実をもとに改善する
・観光地やイベント会場の今の人の流れを可視化することが第一歩
観光地づくりは、もはや「たくさん来てもらえればよい」だけでは進めにくい時代です。だからこそLocation AIは、観光の現場で“人の流れ”を根拠に判断できることが大切だと考えています
観光マーケティングとは
観光マーケティングとは、観光地や地域の魅力を観光客に伝え、来訪を促すだけでなく、来訪後の満足度を高め、再訪や周囲への推奨につなげるための取り組みです。
言い換えると、
「誰に」「何を」「いつ」「どのように届けるか」を考えながら、
観光地の体験価値を磨いていく考え方です。
たとえば観光地では、次のようなことを把握する必要があります。
- どのような人が訪れているのか
- いつ・どこから訪れているのか
- どこを回遊しているのか
- どのような体験を求めているのか
こうした情報をもとに、観光資源の見せ方、情報発信、イベント、受入環境、広告施策などを見直していくことが、観光マーケティングの本質です。
観光庁も、DMO(観光地域づくり法人)の基礎的な役割として、各種データの継続的な収集・分析、戦略策定、KPI設定、PDCAサイクルの確立を挙げています。つまり、これからの観光マーケティングは「感覚」だけでなく、「根拠」を持って進めることが重要だといえます。

なぜ今、観光マーケティングが重要なのか
今、観光マーケティングが注目される大きな理由は、観光需要の回復と多様化です。
JNTOによると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人※日本政府観光局発表で年間過去最多となりました。訪日客が増える一方で、国・地域によって訪れる時期や行動の特徴は異なります。
また、観光庁の宿泊旅行統計調査では、2025年12月の延べ宿泊者数は5,342万人泊、うち外国人延べ宿泊者数は1,490万人泊でした。観光需要が大きいからこそ、地域ごとに「誰が来ているのか」「どこに偏っているのか」「施策がどこに効いたのか」を見極める必要があります。
つまり、いま必要なのは単なる集客の発想ではなく、観光地全体をどう育てていくかという視点です。
観光マーケティングで行われる主な取り組み
具体的な観光マーケティングでは、主に以下のような活動が行われます。
1.ターゲット市場の特定
まず大切なのは、誰に来てほしいのかを明確にすることです。
年齢や性別だけでなく、居住地、旅行目的、同行者、滞在時間帯などを踏まえて、優先すべき層を整理します。
たとえば、ファミリー層を狙うのか、若年層の週末需要を伸ばすのか、遠方客の宿泊需要を増やすのかによって、打ち手は変わります。
2.イベントの企画・開催
地域の魅力を体験として伝えるために、季節イベントや文化催事、スポーツ大会、ナイトイベントなどを企画・実施します。ただ開催するだけでなく、「誰に向けた企画か」「どの時間帯の来訪を増やしたいか」までを落とし込んで考えることが重要です。
3.パートナーシップの構築
観光マーケティングは、自治体だけでは完結しません。
地元の企業や団体と協力し、相互の利益を追求するパートナーシップを築くことが大切です。
地元の宿泊施設、飲食店、交通事業者、小売、地域団体などと連携することで、観光客にとって便利で魅力ある体験をつくりやすくなります。
4.マーケティングキャンペーンの実施
Web広告、テレビ・ラジオCM、ポスター広告など、さまざまなメディアを活用して観光地の魅力を発信します。特定の期間やシーズンに合わせたキャンペーンを計画したり、どの媒体で、どのエリアに、どのタイミングで訴求するかが成果を左右します。
5.観光地の魅力の発信
観光スポットそのものの紹介だけでなく、モデルコース、季節の楽しみ方、周辺の飲食・買い物情報、混雑を避けやすい時間帯なども含めて発信することが、満足度向上につながります。
6.効果検証と改善設計
観光マーケティングでは、「実施して終わり」にしないことが大切です。
施策の前後で、次のような変化を確認します。
- 来訪者数は増えたか
- どの時間帯に効果が出たか
- どのエリアからの来訪が増えたか
- 混雑の偏りは改善したか
- 周辺施設への回遊は広がったか
この検証があることで、次回施策の精度が上がります。
実施して終わりではなく、検証・改善を繰り返す ことが、観光マーケティングでは重要です。
人流データを活用した観光マーケティングとは?
観光マーケティングで近年広がっているのが、人流データを活用した観光地分析です。
ここでいう人流データとは、スマートフォンなどから得られる位置情報をもとに、人の移動や滞在傾向を統計的に可視化したデータのことです。個人を特定するものではなく、地域全体の動きや傾向を把握するために活用されます。
人流データを使うと、たとえば次のようなことが見えてきます。
- 観光地にどれくらいの人が来ているか
- どの地域から来訪しているか
- 曜日・時間帯ごとの混雑状況
- イベント実施前後の変化
- 周辺施設や飲食店への回遊が起きているか
観光施策では、「人が来たかどうか」だけでは十分ではありません。
なぜ来たのか、どこで滞在したのか、次に何を改善すべきかまで見えてくることが、
人流データの大きな価値です。

人流データを活用するメリット
感覚ではなく、客観的に議論できる
「今年は盛り上がった気がする」「例年より人が多かったと思う」といった感覚だけでは、次の施策に活かしにくい場面があります。
人流データがあると、来訪数や混雑時間帯、来訪元の変化などを客観的に見られます。
庁内説明や関係者説明の根拠になる
観光施策では、予算説明や関係者との合意形成が欠かせません。
データがあることで、「どの施策が、どこに、どれだけ効いたのか」を説明しやすくなります。
次回施策の改善ポイントが見える
たとえば、イベントで来訪者数は増えても、回遊が広がっていないことがあります。
そうした場合、次回は導線設計や周辺店舗連携に重点を置く、といった改善がしやすくなります。
観光マーケティングに活用できる人流分析サービス
人流アナリティクスツーリズムは、観光地やイベント会場の人の流れを、
誰でも簡見える化・分析しやすいように設計された観光地向けの人流データ分析サービスです。
たとえば、次のような情報をダッシュボードで確認できます。
- 来訪者数の推移
- 来訪元(都道府県・市区町村)
- 曜日・時間帯別の混雑状況
- イベント前後の変化
- 観光地周辺の人の流れ
「観光マーケティングに取り組みたいけれど、何から見ればよいかわからない」という方でも、まずは今の観光地の姿を把握する第一歩として活用しやすいのが特長です。
無料アカウントから始められるため、初めて人流データを活用する方にも取り入れやすい選択肢です。
観光マーケティングの活用事例
横浜中華街|人流データを活用した観光施策と街づくり
横浜中華街では、観光客動向を把握し、施策の効果を検証するために人流データが活用されています。
この事例のポイントは、集客施策だけでなく、街づくりや将来計画にも人流分析を活かしていることです。
観光客がどのタイミングで増減したのか、施策の前後でどう変わったのかを捉えることで、次の改善アクションにつなげやすくなります。
長野県・松本城周辺|観光地と周辺飲食店の人流分析
松本城周辺では、観光地単体ではなく、周辺飲食店も含めた人流分析が行われています。
この事例の学びは、観光地の魅力向上には、周辺エリアまで含めた回遊設計が重要だということです。
観光客の属性や行動傾向を把握することで、観光地そのものの集客だけでなく、地域全体の回遊や消費の改善にもつなげられます。
インバウンド対応の観光マーケティングにも人流データを
訪日外国人観光客(インバウンド)を対象とした観光マーケティングでは、国内観光以上に国・地域別の来訪動向を正確に把握することが重要です。
たとえば同じ観光地でも、国や地域によって、旅行目的や行動パターン、滞在時間、回遊エリアは大きく異なります。こうした違いを把握できないまま施策を行うと、情報発信やプロモーションの効果が見えにくくなります。
人流データを活用すれば、どの国・地域の観光客が、いつ・どこに訪れているのかを客観的に捉え、施策設計や効果検証に活かすことができます。
まとめ
観光マーケティングとは、観光客を集めるためだけの活動ではありません。
地域の魅力をどう伝えるか、来訪後の満足度をどう高めるか、次の来訪や地域消費につなげるには何が必要かを考え、改善を続ける取り組みです。
いまは観光需要が大きく動く時代です。だからこそ、勘や経験だけに頼るのではなく、来訪・回遊・混雑・滞在といった事実をもとに、次の一手を考えられることが大きな強みになります。
何から始めればよいかわからないという方は、まずは観光地やイベント会場の「今の人の流れ」を見てみることから始めてみませんか。
人流アナリティクスツーリズムなら、来訪者数の推移や来訪元、混雑の傾向を直感的に把握しやすく、観光マーケティングの第一歩として活用しやすいです。

